1945年、君を迎えに行く。





「お母さん、今日学校休みたい」


「はあ?そんなのダメ。ちゃんと行きなさい」


「え〜…お父さんも会社休んでよ。3人でいよう。今日はずっと」


「ははは、なに言ってるんだ。残業はないから夕飯、3人で食べよう。久しぶりに外食でもするか?」


「あら、いいの?助かるわ〜」


「ちょうど金曜だし、給料日だしな!なにが食べたいか考えておくんだぞ志緒」



お母さん手作りの朝食を食べながら、「はあい」と柔らかい返事をする。

ちょっとだけ照れくさい。


そっか……私、ずっと変な夢を見ていたんだ。


お母さんとお父さんが火事で死んじゃって、私はそれから児童養護施設に預けられて、ちょっとだけ冷めた高校生になっちゃってさ。

そんな、長くて暗い夢を見ていた。



「おかあさん、もう1回私の頬っぺたつねって」


「はいはい。…どう?」


「…いひゃい」


「夢じゃなくてよかったわね。早く食べて準備しなさーい」



痛みがある。
これは夢なんかじゃない。

なにか大きなことを忘れている気がするけれど、そんなものは生活していけば思い出すだろうから。