「なんっ、おか…っ、おかあさ…っ」
「えっ!?なに、もう、怖い夢でも見たの?どうして泣いてるのよ」
「お母さん……っ」
飛び起きて、抱きつく。
次から次に溢れ出てくる涙が邪魔で、こんなにも自分にとって都合が良すぎる夢を少しでも長く堪能したくて、もっと母を目に映しておきたくて。
おもいっきり吸い込んだ母の匂い。
私が本気で泣いていると理解したのか、母は背中に腕を回してくれた。
「…もう。そんなに呼ばなくても、お母さんはここにいるわ」
会いたかった、ずっと会いたかった。
火が家中に燃え広がって、8歳の私は消防士さんに抱えられてあなたを火の中に置いてきてしまった。
ひどい娘だ。
なんて、ひどい娘なんだ。
あなたたちに助けられた命、一緒に死んだほうが良かったと思ったことが何回もある。



