「もうっ、いつまで寝てるの志緒!いいかげん起きなさい。学校遅れても知らないわよ?」
「…………んー……」
「ほら、起きる!冷房朝までつけるのも風邪引くからやめなさいって言ってるじゃない。まったく…」
懐かしい声だった。
あなたみたいな声になりたいと幼い頃から思っていた私は、小学校高学年あたりで落ち込んだものだ。
声が同じなら、あなたの声も忘れず済んだのに───と。
シャッ!と、カーテンが開けられる。
「しーおー?本当にお母さん知らないわよ?あとで後悔しても遅いからね?」
「…………え……、おか……さん…?」
「…なによ、そんな顔しちゃって。起きてたの?」
増えているシワ。
記憶のなかにあるより歳を取っている。
エプロン姿をして、髪をヘアクリップで簡易的にまとめて、信じられないものを前にした私に困ったように笑いかけてくる────……母。



