はしれ、……走れ。
「走れぇーーーッ!!!」
草木を抜け、兵舎を過ぎ。
その先、滑走路へと続く飛行場の入り口がある。
たどり着いたとき、雨風は激しさを増していた。
彼の涙か、私の涙か、鳥海のお母さんの涙か。
この雨は一生、止むことはない。
「きみは女学生か…?今日の出撃はもう終わったぞ」
「とりうみ…っ!鳥海は…!!」
「鳥海……?…ああ、鳥海少尉は先ほど立派に出撃していったよ」
立派…?
何をもってして“立派”なの。
爆弾を積んだ戦闘機に乗り、操縦し、自らの命ごと敵艦に体当たりをし、死んでいく。
立派な死とは……なんだ。
「…見送れなかったのか」
声を枯らすようにその場にへたり込んだ私にしゃがみかけた、ひとりの兵士。
彼もまた明日か、明後日か、同じように飛び立っていくのだろう。



