1945年、君を迎えに行く。





頭が真っ白になった。


私がヤエちゃんと玉子丼を食べているとき、君は機体に乗り込んで飛び立ったっていうの…?

この五平餅を渡すことすら、叶えさせてはくれないの…?


会うことさえ、時間を狂わせるってこと…?


なにがダメなの。
大切な人に会いに行って、なにがダメなの。



「伝言、預かっちょっと…っ、どうか強く逞しく…君らしく、生きていってくれ…って」



これが彼の遺言だと。

私に残した、たった唯一だと。


………鳥海、なんで、どうしてよ。



「なんでよお……ッッ!!!」


「っ、シオちゃん…!!!」



錘のような全身を立たせて、五平餅を抱えて私は走る。

基地へ、飛行場へ、彼がいる場所へ。


走るたびに泥が跳ねて、転ぶたびに全身が汚れていく。


まだサイコロは残ってる。
まだ時間はあるんだってば。



「とりうみーーー……っ」



限りなく黒に近い灰の空は、なにも見せてはくれなかった。

思うように翼を広げる青空すら用意してくれない神様が、憎い、にくい。


こんな雨風のなか、彼は最期の瞬間、なにを見るのだろうか。