1945年、君を迎えに行く。





「これ…っ、鳥海に…!すぐに届けなくちゃ!!………ヤエ、ちゃん?」



走り出した私とは反対に、ヤエちゃんはその場を一歩も動こうとしない。

顔を伏せたまま、ただじっとしている。


不安になった私は近づくけれど、そこで、もっとひどく悲惨な嘘をヤエちゃんは私にもついていたのだと、震えるほどに察した。



「ヤエ…ちゃ、」



ポタリ、ポタリ。

さっきまではあんなにも鉄壁とも言えるほどの仮面を取り付けていた少女からこぼれ落ちる、雨ではない紛れもなく涙。



「……ごめん…っ、ゆるして…っ、許してシオちゃん……っ」



今日、だと。


出撃予定は今日の昼、つまり時間はもう過ぎていた。

彼は昨日、3度目の出撃命令を受けたと。


バシャンッ───。


泥になった地べたに、私は崩れるように力なく座り込む。



「どうして…っ、なんで言ってくれなかったの…!!」


「言えんかった…!!鳥海さんに…、言われちょったと…っ」


「……え…?」


「もし今後シオちゃんが急に現れて、そんとき自分に出撃命令が下されちょったら……シオには黙っちょってくれって、ゆわんで欲しかって…っ」