1945年、君を迎えに行く。





私……そんなふうに強くなれないよ。


このままお母さんに息子の顔を見せてあげられないままお別れなんて。

せっかく知覧にいるのに。

長野の田舎から、この空襲だらけのなか彼女は知覧まで来たんだよ。


息子にこの五平餅を渡すために……たった、それだけのために。



「っ…、うぅ…っ」


「…シオちゃん、ウチも苦しかよ。辛かよ。じゃけど…今までも似たようなことはたくさんあった、いっぱい見てきた。これが一番……よかとよ」



お母さんの背中が小さくなってから、私はとうとう堪えきれず嗚咽を漏らした。


母親に心配かけさせまいと嘘をつく鳥海も、実際は分かっていながらも嘘に騙されたふりをする母親も。

けれど、ほんのわずかな希望に懸けたい親心も。


そしてこうして嘘に嘘を被せて、優しくて残酷な安心を与える女学生たちも。


ぜんぶ………やるせなさすぎる。