1945年、君を迎えに行く。





「そう…、よかった…。あの子に会うことはできんのかね?」


「鳥海さんはいつも兵士さんたちと機体の点検作業が多かで…一般は立ち入れんのです」


「……じゃあ、これ。あの子に渡してもらってもいいかい?」



どこで止めるべきかとタイミングを図っているうちにも、彼女が手にしていた土産が雨のなか私に渡される。



「五平餅(ごへいもち)、うちの地方の特産品でね。隼人も昔からお腹いっぱいになるまで何本も食べてたんよ」


「……ヤエちゃん、」



渡させてあげようよ。

お母さんの手から息子に、これは渡させてあげないとダメだ。


鳥海がまだ居るなら、それこそ今しか叶わないんだから。


情けなく震える声でヤエちゃんの名前を呼ぶことが、私にできる精いっぱいだった。



「わかりました。必ずお渡しします」


「っ、ヤエちゃん!」


「シオちゃん」


「……っ、」



穏やかに首を横に振るヤエちゃんの目は、残酷なほど、強くてまっすぐ。