「どげん?シオちゃん、頬っぺた落っこちたじゃろ?」
「……落っこちた」
「…ふふっ」
笑ってから、周りを気にして「あっ、いけん」と、ヤエちゃんは顔を引き締める。
美味しいものを食べて笑う、友達とあるがままに分かち合う、それすらさせてくれないんだ。
この時代で初めて口にした食事は、友達と食べた玉子丼は。
一口ひとくちが勿体なく感じてしまうほど切なく、しょっぱくて美味しかった。
「…前は、ごめんね」
食べ終わった頃、しずかに、ゆっくりと、ヤエちゃんは視線を落としながら言う。
「っ、そんなの私のほうが……私こそ、ごめんなさい」
「ううん。ウチも本当は…シオちゃんみたいなまま、おったかったじゃ」
私みたいなまま…?
「違うことは違うっちゅって、おかしかことはおかしかってゆって。…できることならずっと、そげんふうに立っちゃえる人間でいたかった」



