1945年、君を迎えに行く。





「おばちゃんはこの食堂の顔でね、昔からウチとも知り合いなんじゃ。…ハルミとも、よう来ちょったよ」



端の4人席に案内されて、ヤエちゃんと向かい合って座った。


町で愛されていた食堂がいつしか軍指定の食堂となり、日に日に兵隊たちが集まる憩(いこ)いの場になっていたという。

今も座敷にチラリと見える軍服姿の男性は、静かにどんぶりをかき込んでいた。



「ふたりもいつも奉仕活動、ご苦労さん。なに食べよか?おばちゃんが腕をふってご馳走すっでね」


「…オススメは、」


「そりゃもうおばちゃんの玉子丼!卵がぷるぷるで、きっと頬っぺた落っこちるど〜?」



ここに来たら誰もが必ず1度は頼む定番メニューだという。

ヤエちゃんの笑顔にもやられて、私はうなずいた。



「じゃあ…それでお願いします」


「はいよ。ヤエちゃんも同じもんでよかけ?」


「もちろん!」



基地では少女たちをまとめるリーダーでしっかり者。

命を捨てて国を守ってくれる若者たちを前に、できる限り役に立とうとしている女学生。


けれど本当の月永 やえ子は、きっと今のように年相応で、放課後はこうして学校帰りに寄り道をするような女の子だったんだと思う。


戦争は少女たちの少女らしささえ、平気で奪ってしまうのだ。