「ヤエちゃん……向こうの、みんなは、」
「基地」とは言ってはいけない約束。
それを守りながら、曖昧に聞いた。
「向こうは…大丈夫じゃ。空襲があったって聞いて、ウチらは交代で実家ん様子を見ていい許可が下りたとよ」
「そうだったんだ…」
「…鳥海さんも、変わらずおるからね」
私の想いを汲み取ってくれたような言葉に、なんとも言えない気持ちが込み上げてきた。
ヤエちゃんの手をそっと握って、私はあなたが無事だったことも心から嬉しいと伝える。
あのときはごめんなさい。
なにも分かっていなくて、最低なことばかりを言った。
ハルミちゃんにも申し訳ない。
するとヤエちゃんはどこか複雑そうな顔を一瞬だけ見せて、それからただの少女になった。
「ねえ、お腹空いちょらん?良かところ案内しちゃる!天気も悪かし、身体あっためんと!」
「えっ、わっ、」
「この空襲んなかでも無事やった魔法の食堂があるとよ!まるでシオちゃんみたいっちゃ。シオちゃんもぜったい生きちょってくれる!」



