「ここは…知覧ですか…?」
「あんた、ここの人じゃなかと?」
「……はい」
「最近はどこも民間人への攻撃が増えちょるから、可哀想やがどこに来たって同じじゃ。そいより傘も差さんで立っちょったら風邪引くど」
どこへ逃げても空から火が降ってくると。
都心部だけでなく地方にも空襲は当たり前になっている1945年、4月。
このままでは大日本帝国は沈んでしまうのではないかと、国民たちも不安を顔に隠すことができていなかった。
無事なんだろうか。
町が狙われているならば、基地があるあの場所だって。
「シオ…ちゃん?」
「っ!」
「シオちゃん…!あんたっ、無事やったと…!?よかった…、よかった…っ」
おじさんと交代するように名前を呼んで駆け寄ってきたのは、傘を差したヤエちゃんだった。
彼女もまた前よりも痩せている気がする。
単純に栄養が足りていない、休息が取れていない。
けれど文句を言うことは決してたりとも許されない。
それがこの時代の日本だ。



