1945年、君を迎えに行く。










「─────……うそ……」



目の前に広がった光景を前に、私は意識が遠のいていきそうだった。


煤けた灰の匂いは、鼻を強く刺激してくる。

強く打ちつける雨風のなか、余計にモワッと浮かび上がるのだ。


家屋が燃えたあとを私は知っている。
この匂いを、感覚を、私は知っている。


右も左も黒焦げた平地を見るたびに、心臓がぎゅっと恐怖で鷲掴みされるような痛みが襲ってきた。



「これって…もしかして……」



戻ってきた場所は私が知っている陸軍基地ではなく、民間人が暮らす下町だった。

通り過ぎる人間たちは誰もが参っているのか疲れ切った顔。



「昨夜の空襲はひどかったがね。この雨が昨夜に降ってくれちょったらなあ…」



立ち尽くす私の背後、ひとりのおじさんは独り言のようにつぶやく。


空襲。

予想していた単語が、脳内にすぐ響き渡った。