1945年、君を迎えに行く。





「やっぱり……ダメだ」



そんなの、ダメだよ。

命は誰かのために犠牲にするものじゃない。
犠牲にしていいものじゃない。


美徳には、しちゃいけない。


 
「っ!危ない…!!」



歩道もない場所で横切った、1匹の猫。

減速することなく向かってくる車は、猫のためにブレーキをかける優しさはなかった。


咄嗟に私が飛び出してやっと、キキーッッ!と、ブレーキ音が響き渡る。


──────ドンッッ!!



「何してんだあぶねえだろッ!!………あれっ?なんだ、気のせいか…?」



笑えるよ。

命は誰かのために犠牲にしていいものじゃないって、今にも思っていたくせに。


考えるより身体が真っ先に動いた。


小さな命のために、目の前にある命を守るために、自分の身を投げる覚悟だなんて。

それでもやっぱり私は納得できそうにない。
私は、こうなると分かっていたから飛び出せたの。


浮遊感と秒針音のなか、ぐっと唇を噛んだ。