「…あれ以来、向こうに行ったのか?」
「…できればあんたが血を吐く前に行きたかった」
そうすれば入院はしてなかったかもしれない。
つまり「行けてない」ということ。
だから落ち着かないの。
今にも行きたいよ、行けるなら。
いつ出撃命令が下されるか分からないんだから。
あんな次から次に命をいのちとして見られない、道具として扱われる場所で生きている彼─鳥海─は。
「ここに連れてくることって…できるかな」
「え?」
「…鳥海をさ、この未来に」
わりと本気だったりする。
むしろそれくらいしないと救えないんじゃないかって、焦ってる。
「そんなことしたら時間が歪むぞ。この世界は確実に無くなる」
「…わかってるよ。でも、それ覚悟って言ったら?」
「……おまえ…、」
飛ばせたくない。
飛べなかった隼人を前に、最低なことを言っているかもしれないけれど。
飛べる彼を、私は飛ばせたくない。
あんな空を飛ばせたくはない。
それに……未来に誰よりも焦がれていた鳥海を、私はここに連れてきたいと思っている。



