「薬はすでに完成した。本来なら鳥海の病気にも効くはずだが、効果はなかった」
「完成したって…、特効薬あるってことじゃん。効果はないって、なに…?なんで…?」
「それが歪みの調整なんだ。元々この時代に居なかった存在は…その調整によって“存在しない者”としてバランスを取られるからだろうな。つまり、僕も鳥海と同意見だ。もうサイコロで過去へ行くのはやめろ」
私はこの漢数字をリミッターとして認識している。
三が消えたなら、今度は二が消えるんだ。
そして一が消えたなら、サイコロはもう時空移動の価値を見出さないだろうと。
………時間が、ないんだよ。
「花折。向こうの時代に情でも生まれたか」
「っ、…救いたい存在がいる。それだけだよ」
特攻兵なんだ。
いつ出撃してしまうか分からない。
2回戻って来てしまったと言っていたけど、そんなものは奇跡的な運でしかない。
1日1日、何人もの命が空へと散っていくの。
そのなかに、あの人も含まれている。



