「…志緒、もうそのサイコロは捨てたほうがいいんじゃないか」
隼人がそんな変わったことを言ってきたのは、漢数字がひとつ消えたサイコロを見つめていたときだった。
理由もわからない。
原因も、わからない。
かと言って突き詰める方法は過去に戻るしかなく、そうしてしまうことでまた消えてしまうかもしれない。
「なに言ってるの。隼人は薬の開発、私はそれを届ける役目。…そう約束したじゃん」
「…俺の病気はこの時代でも特効薬は作られてない」
「だから自分で作るんでしょ…?マッサンも手伝ってくれてる。…今さら諦めるなんて、あんたらしくないよ」
隼人が私に伝えたいことが、よくわからない。
結局なにを言いたいのかハッキリして欲しい。
口をつぐんで視線を逸らして、それはあなたが何かを隠すときの仕草だ。
「歪みの調整ってやつだ」
放課後の屋上。
私と隼人が向かい合う場所に、初めてマッサンが自分の足で加わってきた。



