1945年、君を迎えに行く。





「嫌なら…やめるさ」


「…っ」



背中だけじゃなく、空いていたもう片方を使って後頭部も一緒に押さえる。

まだ逃げられる余地を作りながらも、実際は余裕など無いに等しかった。


ここはもう無理にでも奪うのが男ってやつなのかもしれない。


けれど俺は……初めてなんだ、ここまでの苦しさを他者に、それも女に与えられたことさえ。



「…そーいうのは…、フツー聞かないでやるもんでしょ、」


「…!」



ぎゅっと、俺の軍服を握ってくる。

そんなにも強く握って、彼女は何を俺に伝えようとしているのだろうか。



「………、」



顔をゆっくり近づける。

お互いの鼻息に触れて、あと数センチというところで、俺はピタリと動きを止めた。



「とり…うみ…?」



代わりにやんわり手を取って、ぼどいて、俺の手のひらで覆うように握りしめる。

そして合わせることなく離した唇の先、志緒は眉も視線も下げた。