1945年、君を迎えに行く。





「俺の代わりに高く高く……飛んでいけ」



飛べなかった青年。
飛ぶことを諦めてしまった、青年。

かと思えば想像もしていなかった世界─未来─へと飛ばされてしまった、青年。



「どこまで行くんだろうな。もしどこかで弾けたとしても、風船のおかげで運ばれて、俺は空の気体になったんだ」


「…なにそれ」


「…だから志緒。そんな泣きそうな顔、するなよ」



いつかに私が言ったセリフだ。

隼人の瞳に映った自分は、たしかに今にも消えそうなほど小さかった。



「…ありがと、隼人」


「なあ志緒。俺もあすなろ園…行ったらダメか?」


「……え、行くって、」



そこに暮らすってこと?

確かに隼人の立場は孤児でも話が通りそうだし、そちらのほうが都合いいかもしれないけれど。



「遊びに」


「ああ…、遊びに、ね」



日に日に柔らかくなっていく。
まさか隼人がこんなことを言ってくるなんて。


この世界で君はなにを感じたんだろう。

私はあの世界でたくさんのものを見てしまったよ。


逆だね。

未来に来てしまった隼人と、過去に行ってしまった私は。