「やえ子ちゃん、志緒の様子はどうだ」
「だいぶ汗も引いて、呼吸も落ち着いちょります。あとはお水をたくさん飲ませたらようなると思いますから。今もハルミに汲んでくるよう頼んだところじゃっで」
「そうか…、よかった」
「ふたりで飛び出してなーにしていたんだかねえ。服でも脱がねえかぎり、こんなにも熱は出ないと思うぜ?ぐふふ」
「だまれ風間」
身体のベタつきが鬱陶しくなって、重いまぶたをゆっくりと開く。
ぶら下がった屋根付きの電球、土と木の匂い、お世辞でも休まるとは言えない背中の固さ。
最初に気づいた青年が、私のそばに寄ってくる。
「大丈夫か。…悪い、こんな季節に川遊びをさせてしまった俺のせいだ」
「……そう、だよ、」
「鳥海のせい…」と言いながらへらりと笑ってみせると、申し訳なさを出しつつ安心したように彼は眉を下げた。
ここは空きとなった兵舎らしく、今はヤエちゃんたち女学生の休憩所として使われているらしい。
ほかの生徒たちは手伝いをしに行っているのか、私を見守るのはヤエちゃんと鳥海……それから風間さん、だったか。



