1945年、君を迎えに行く。





ハッと顔を向けてから、後悔する。

傷ついていない、怒りすら感じていない、柔らかく笑っている鳥海を見て。


胸の奥が……ぎゅっと、詰まった。



「怪我……、どうしてここまでされるの…」


「それは容赦ない拳骨を食らったからだ」


「ちがう!あたまっ、包帯はやりすぎでしょ…!」


「ああ、これか。これは殴られて体勢を崩してしまって、ちょうど棚の角にぶつけて切れただけだ。さすがに殴ったほうも驚いていたよ」


「………ドジ」


「…ははっ。否定はしない」



もう少し。

もう少しだけ、ほんの少しでいいから。


あと少しでも………こうして隣にいたい。



「うわっ!ちょっと…!なにすんの冷たいっ」


「なんだか顔が赤くないか?そういう場合は冷やしたほうがいいぞ」


「っ…!?か、風邪引いたらどーすんの!その腫れてみっともない顔冷やすべきは鳥海でしょ!」


「お。みっともないとは言ってくれるな」



跳ねた雫は、落ちて消える。

落ちて消えて、おちて、きえて。


でもそれが「墜ちること前提」を理解していたとするなら。


果たして雫は、ここまで純粋に、きれいに跳ねるのだろうか───。