「その人は……だれなの?」
「…………」
忘れてしまった、ということだろうか。
それとも名前を聞いていなかったか。
黙りこくってしまった彼に、これ以上踏み込むことはどうしてもできそうになかった。
「俺は…、自分の病気を治したかったんだ」
やっぱり“鳥海 隼人”だと。
どの世界線だろうが、オリジナルだろうがそうじゃなかろうが。
根本にある決意は、同じ。
「未来にまた行けば、必ず治せると思った。たくさんの薬があって、見たこともない医療器具ばかりを見た。あれさえあれば……俺の病気は治るって」
「…うん」
「…だが、俺は失敗したよ」
「……くやしい?」
「っ、」
なにを聞いているんだろうね、私。
最低なことを聞いた自覚だけはある。
どうしようもないことに対して、掘り返しているんだから。
「…悔しくは、ないさ。俺がここに残らなければいけない理由がどこかにあったんだろう。それは……俺が、ここに残された俺だからこその」



