1945年、君を迎えに行く。





「それで目を覚ますと俺は……明るすぎる建物内にいたんだ」


「建物……」


「そこは病院だった。すれ違う人間たちが手にしている小型の機械を見たり、それこそ薄型の画面に人間が映っていたり。初めてのものばかり目にしたよ」



信じられなかった───、

そう言いながらも、この人は心から信じている。



「そこはずっとずっと先の未来だと……すぐに分かった」



それは、とても、憧れを抱く少年のような横顔だったから。

またあそこに行きたい、行ってみたいと、遠い遠い空を夢見る少年。


飛行機に乗ってパイロットになりたいと願った“隼人”がいたなら、ここにいる“鳥海”は、未来をもう1度知りたかった青年なんじゃないか。



「そこで俺の担当医をしてくれていた、ひとりの女医がいたんだけれど」



優しくしてくれたと。

誰よりも温かく接してくれて、些細な質問をするたびに穏やかな顔をして答えてくれたと。



「その人に…とある正六面体の箱型をしたものを渡されたんだ。これは君のものだから、君の宝物だよ、と」


「えっ、まって…、それって……」


「ああ。志緒もよく知ってるだろう」



じゃあすべての発端は、その女医だ。

その人が未来に行ってしまった10歳の鳥海に渡さなければ、向こうにいる隼人もあんなことにはなっていなかった。


このサイコロが何かの秘密を握っているんじゃないかと、今となりにいる彼も期待を乗せなくて済んだのだから。