1945年、君を迎えに行く。





「あなたは、どうして未来に行こうとしていたの?」



浅瀬に映し出された幻影が、揺れている。


私の直球すぎる質問に驚きもしないで、彼はそばにある石に腰掛けた。

微笑みながらちょいちょいと手招きをしてくるものだから、私もつられたように隣に腰を落とす。


ふわっ。


それまで鳥海が着ていた軍服が、私の肩に丁寧にかけられる。



「ここは暖かいほうかもしれないが、そんな薄着をしていたら風邪を引く」


「…ありがと」



照れくさい。

重さ自体は想像していたより軽かったが、表現できない確かな“重み”があった。



「俺は1度……その“未来”に行ったことがあるんだ」


「……え……?」


「10歳の頃だったか。紙で作った飛行機が屋根の上に乗ってしまったから、俺はよじ登って取ろうとしたんだ。そのとき……足を滑らせてしまって地面に落ちた」



10歳ながらにも高い場所から落ちる痛みを覚悟したはずが、なぜか痛みを感じなかった少年は。

それどころか身体はふわりと浮き、カチカチカチという秒針音を聞いたという。