1945年、君を迎えに行く。





「…やえ子ちゃん。すこし志緒を借りていいか」


「も、もちろんです…!」


「ありがとう。…行こう」



「もちろんです」と言ったヤエちゃんの返事も、よく考えるとちょっと変だ。

ぐいっと右腕を引かれて、あまり走りすぎないように私たちは三角兵舎から離れた。



「……どうやって、ここに来たんだ」



川のほとりで足を止めて、開口一番。

この男にしてはなんともざっくばらんすぎる質問だと思った。



「鳥海。私…、ぜんぶ知ってるから」


「………、」


「…ちがう世界の鳥海と、私は未来にいるよ」


「…やはりか。俺は、どこかで時間を歪ませてしまったんだな」



こぶしさえ、握らない。
悔しいと何かに八つ当たりもしない。

責めもしない、自分を叱りもせず、それが運命なんだろうと受け入れる。


向こうの彼が「弱さのなかに強さがある人」なのだとすれば。


ここにいる彼は、「強さのなかに弱さがある人」だと。