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「キャンキャン!」
────……なんだろう、この生温かい感覚と獣臭は。
肌に触れるたびにふんふんと鼻息が聞こえ、赤ちゃんの毛で作った筆を連想させる柔らかさ。
「………こら…、犬…」
ハッハッと、私の顔を舐め回している。
パチリと開いたまぶたの先、まずは焦げ茶色の毛並みとつぶらな瞳が飛び込んできては、見下ろす木々たちの先に真っ青な世界が広がっている。
どの時代だったとしても絶対に変わらないものは、空なんだと。
………子犬だ。
野良犬だろうか。
「ポチ〜、どこ行ってしもたんー?おーーい!はよ戻っちょいでーーー!」
あまり遠くない場所から、聞こえる。
「キャンキャン!」
「ポチ!こげんところにおったと!…って、あんたシオちゃん…!?シオちゃんやっどね!?急に消えちょってびっくりしたじゃよ…!また道に迷うてしもたと…?」
子犬に呼ばれたように、茂みからコソッと顔を出した少女。
この子は……。
「ハルミ、ちゃん…?」
「そう!ハルミやっど!ヤエちゃんたちもずーっとあんたを心配しちょったんよ…!」



