1945年、君を迎えに行く。










「キャンキャン!」



────……なんだろう、この生温かい感覚と獣臭は。


肌に触れるたびにふんふんと鼻息が聞こえ、赤ちゃんの毛で作った筆を連想させる柔らかさ。



「………こら…、犬…」



ハッハッと、私の顔を舐め回している。

パチリと開いたまぶたの先、まずは焦げ茶色の毛並みとつぶらな瞳が飛び込んできては、見下ろす木々たちの先に真っ青な世界が広がっている。


どの時代だったとしても絶対に変わらないものは、空なんだと。


………子犬だ。

野良犬だろうか。



「ポチ〜、どこ行ってしもたんー?おーーい!はよ戻っちょいでーーー!」



あまり遠くない場所から、聞こえる。



「キャンキャン!」


「ポチ!こげんところにおったと!…って、あんたシオちゃん…!?シオちゃんやっどね!?急に消えちょってびっくりしたじゃよ…!また道に迷うてしもたと…?」



子犬に呼ばれたように、茂みからコソッと顔を出した少女。

この子は……。



「ハルミ、ちゃん…?」


「そう!ハルミやっど!ヤエちゃんたちもずーっとあんたを心配しちょったんよ…!」