転生した特典が鼻かんだティッシュよりしょぼすぎる!〜ゴミ武器はゴミとしてぶん投げる〜

 まずい。なんとか話を変えて誤魔化さないと。 

「あの、今日はなんで?」

 そう言ってキーヌは俺の横に座ってきた。

「今日はいっぱいお礼を言わないといけないことがあるの」

 そうしてキーヌは俺に近づいてきた。
 当たってる?いや、確実に当てている。
 それどころか、擦り付けていないか?

「まず、昨日私の姉を救ってくれたこと、とても感謝しているの」

 めっちゃ揺らしてるんだけど。
 揺れてるのか?

「あの一件のおかげで、普段は暗かった姉がとても明るくなったんだよ」

 多分揺れているっぽいな。
 キーヌ自身は揺らしているつもりはないだろう。
 でも、重量がヤバすぎて何度も、潰れた時に大きく弾かれている。
 俺が今までに触ったものの中で、一番弾力性があるのは確かだ。
 数ある物質の中でもトップクラスに高そうだ。

「それは良かった。
 役に立てたみたいだ」

「次に、私の父があなたのノートを盗んだこと、これは謝らないといけないわ」

「何度もいっているだろ?
 あれは君の父、ヴオルールが悪いんだ。
 君は悪くないんだ」

「それは、確かに…。
 それと、昨日は私と父が話すチャンスも作ってくれた。
 きっとあれがなかったら私は父と話すことができなかった」

「あれは、別に君のためにやったわけじゃなくて、ヴオルールが娘と最後に話すために言ったんだ」

「でも、私にとっては話せたことに変わりはないわ。
 ありがとう」

 いや、なんか揺れるピッチが早くなってきてるわ。

「そして今日、あなたは私をあの男から助けてくれた。
 あの時、私は自分の強さに過信しすぎていた」

「まあ、確かにあの時は少し心配だったな」

「私、現実を見てわかったの。
 やっぱり男性と女性は、力に大きな差が生じてしまう。
 それは仕方のないことなの。 
 これはあなたが教えてくれた」

「キーヌ…」

「だからね。私決めたの。
 そんな男にだって負けない、最強の女になるんだって」

「…頑張ってくれ」

「だからね。私、あなたと一緒について行くことにしたの!」

「うん……ん?
 今何って?」

「だから、私もあなたと一緒に王都に行ってこの村を守るの」

「そ、それは何で?」

「だって私、もっと強くなりたいの。
 そのためには、今日のあの大男みたいな人がいっぱいいる王都に行って強くなりたいの。
 それに、あなたが行ったら私、あなたともう会えなくなっちゃう。
 だから、私はどうしても一緒に行きたいな」
 
 彼女にそんな気持ちがあったのか。
 てっきり、もうずっとここにいるつもりだと思っていたが。

「なら、いくか?一緒に王都へ」

「い、いいの?一緒に行けるの?」
 
 彼女は満面の笑みを浮かべて喜んだ。

「と、言いたいところだが、そうはいかないんだ」

 彼女の顔が、一気に崩れてしまった。

「な、なんで?私のことが嫌いなの?
 私って、足手まといなの?」

「もちろんそういうわけではないんだ。
 だが、心配なんだ。
 王都には君が言ったようにとても強い奴がいっぱいいる。
 でも、悪いが君はあの男を倒すことができなかった。
 今回はなんとか助けられたが、次に君を必ず助られる自信はない。
 このまま俺が王都に行って襲撃を止めてもらい、帰ってきても君はここで安全に暮らして欲しいんだ」

「そうか…そうよね。
 でも、ここに帰ってくるって本当?」

「ああ、一度王都に行って、財務大臣を説得させれたら帰ってくるつもりだ」

「な、なら、あなたが王都に行っている間、私は自分と向き合って、強くなる。
 どんな人にも負けない、最強の女になるから。
 そうしたら、あなたと一緒に暮らしたい。
 もし、あなたがここに戻った後に、またここを出て旅に出るんだったら、私をその度に連れて行って!」

「そ、それは…」

「お願い!本当にお願い!」

「そ、そこまで言うなら、もし君が、今よりも何倍も強くなっていたら、考えよう」

「やっ、やったーーー!!」

「あの、こっちを向いてくれる?」

「え?いいけど」

 そういう時彼女は唇を顔に近づけてきた。
 そして、口を俺の鼻につけて

「ハムッ」して口の中に俺の鼻を入れ、噛まずにハムハムハムハムと口を動かした。

「残念ヒック。鼻でしたーーーーーヒック」

 うっ。酒臭!
 こいつ、めちゃくちゃ酔ってないか?