響け!宝石のカルマート

マーガレットがはしゃぐ。リズも「楽しみです!」と笑った。その笑顔からレオンハルトは目が離せなくなる。

(リズ……)

本当の名前もわからない。過去に何があったのかもほとんどわからない。そんな謎に満ちた彼女を、レオンハルトはただ守りたいと思っている。

(リズの隠す謎に惹かれているわけじゃない。私はーーー)

その時、リズが椅子から立ち上がった。全員の目がリズに向けられる。彼女は少し恥ずかしそうに言った。

「すみません。少しお手洗いに行ってきます」

リズがテーブルを離れた。レオンハルトたちはまた他愛もない話に花を咲かせる。頼んだ料理も次々と運ばれてきた。しかし、リズは戻って来ない。

「リズ、ずいぶん遅いようだねぇ」

オルハンの言葉でレオンハルトは立ち上がった。先ほどまで凪いでいた心が騒ついている。

「リズの様子を見に行って来るよ!」

早口でレオンハルトは言い、テーブルから離れて廊下へと出る。トイレはそれほど遠くない距離だ。