どうか、成仏してください!

 「…出来る、こと?」

 「うん。この子は今すぐ祓わないといけない…でも、お寺でお祓いすると、この子が自我を取り戻す事はない…と思う」

 「そんな…」

 「だから、そこからが私の出番」

 そう、お祓いだけなら華がするよりもお寺の方が確実である。しかし、霊能者である華だから出来ることも、ある。

 「祓った直後にこの子を私に憑依させる。今、怨霊になってるのは、霊体でこの世にいすぎたせいだから…理論上はこれで自我を取り戻すはず」

 「危なくない?」

 「…ちょっとだけ?」

 失敗する確率はそれなりにあるが、やる価値はある。

 「何で、そこまで…」

 「大切な人とお別れしないといけない人がいて、さよならを言う時間がつくれるかもしれないんだよ?そりゃあ、手伝うに決まってるよ」

 当たり前のように手を差し伸べる華に目を見開く。

 「あっ、明日は学校休んでほしい。お寺には私が連絡するから、スマホで送った場所に現地集合で」

 「わかった」

 「朝一でお祓いするから、準備しといて。それと、今日はこれも持っておいてほしい」

 そう言って、小さい袋のようなものを渡す。

 「これは?」

 「お守り。気休め程度だけど1日くらいなら、怨霊になるのを遅らせられるの」

 「大切にするね、ありがとう」

 「じゃあ、私こっちだから…気をつけて帰ってね」
 「うん、氏原さんも」

 お祓いの準備をしたりとしなければならない事が沢山あるため、忙しい華。
 よく考えてみると、友達の家に遊びに行ってから慌ただしく動いているのだから、疲れるに決まっている。

 「あっ」

 (友達といえば…)

 「結衣くんに、また明日って言っちゃった…」

 早速、約束をやぶり、しょんぼりした笹原を思い浮かべて罪悪感に苛まれる華であった。