心にいつも、君がいる



山は意外とすんなり行って写真を撮ってこれた。
こうして、海、滝、山での写真を撮ることに成功したのだった。

私と(あお)、そして部長も描きたい景色を見つけたようで、最近は毎日みんなが真剣な顔をして真っ白な紙に向き合って筆を動かしている光景が美術室に広がっている。
この時期のあるあるだ。私も美術室の椅子に座って、筆を手に取った。

いつもにこにこしている部長も、この時だけは真剣な瞳で熱心に筆を動かしている。
紙に描く音のみが響く空間。ここが、たまらなく好きだなと思った。

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私のクラスが文化祭でやる屋台は、焼きそば屋に決まった。
難しいかもしれないけど、「ぜっっっったいやる‼︎やりたい‼︎」とごり押しした人により決まった。
クラスメイトに声をかけられない私と碧はぽつんと突っ立つことしかできない。

「えーと…じゃあ、看板作りますねー!」

作業中のクラスメイトに声をかけておいて、看板作りに取り掛かる。
まずは紙に下書きをすることになった。

「うーんと、まず屋台の名前書こうか…」

何も喋らない碧と2人で、看板を作り始めた。




「で、できたーーーー‼︎」

「いいんじゃない?」

明るく、それでいて通行人の目を引く看板になった。

「絵も描き終わったし、私たちが文化祭回る時間は確認したし…よし、本番を待つだけだね」

碧の絵を見てはいないけど、表現力が高い碧の絵は、きっといい作品に仕上がったんだと思う。

ただ、本番は何をすればいいのかわかってない…。「君これやって」って言われてないから、また突っ立ってるだけになりそう…。

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——あの予想が、現実になってしまった。

裏方で、ただただ突っ立っている私と碧。本当にやることも、人手が足りてなさそうなところも、無い。
ど、どうしよう…。

「誰か呼び込みしてー」
「!」

人手が足りてなさそう…?

—パシッ

表のほうに行こうとした私の腕が、誰かに掴まれた。

「碧…?」
「行かなくていい」
「え?なんで?」
「…。本当に、行かない方がいい」
「えっ、なんで…っ」

碧に腕を引っ張られて、屋台から出る。


「なんで抜けるの、まだ交代の時間じゃな…」
「黙って、バレるだろ」
「……」
「どうせやることないなら、抜け出してもいいんじゃない?」

そういうことか。

「確かにね」

答えておきながら少し胸が痛かった。