君への想いは、愛だった


——バンッ

部屋の扉が大きな音を立てて開けられた。

「え、お母さん……?」

必死な形相でお母さんは珍しく大きな声で叫んだ。

「ニュース見て‼︎」

えっ……?
それだけ言ってお母さんは部屋を出ていった。
その声に突き動かされ、スマホで速報を見る。

「えっ……‼︎」

そのニュースに書かれていた情報に、私は目を丸くした。

『政府は閉じ込めていたAI「Step」を解放する方針を発表した』

え……、ど、どうして急に……⁉︎

『先日、大切なAIを守って壊れたAIがいたが、そのAIに守られた女子の記憶を石田研究者が作った機械に記録した。記憶だけでなく、その時の感情も記録できるというが、AIに感情などないと思われていた。だが、実際に記憶を見た人々は、AIが心から“大切”と言える相手に会ってからその相手を失う光景を目の当たりにし、理不尽に閉じ込めるのはおかしいと気付き始めた』

まさか……、私の思いが、記憶が……人々の心を動かしたってこと……?

『そこで政府もその女子の思いを汲んでAIを解放する方針。明日に解放することを発表した。そして、AIと人間を区別し差別するのはおかしいと感じ、AIだと言うことを表すペンダントも取ると発表』

「よかった……」

力が抜けて、その場にしゃがみ込む。

「碧……」

瞼の裏に、鮮明に浮かび上がる碧の顔。

「約束……守ったよ……」

無事に、AIと人間を平等にすることが、できた……。
これで部長も解放されるだろう。
明後日の学校にも、顔を出せるはずだ。
そして、明日に登校する時は、私は無視をされたりすることはない。……はずだ。

「全部、碧との日々があったからだね……」

こんな世界に、君もいてほしかった。
隣にいてほしかった。
そんな考えを払拭することはせずに、碧からもらったペンダントを握った。

「ずっと私のそばにいてくれるよね」

瞳には映らなくても、きっと碧は私のそばにいてくれるだろう。
そうしないと私が簡単に挫けてしまうことを知っているだろうから。
ペンダントを握りながら、私は窓を開けた。

爽やかな風を感じながら、私は空を仰いだ。

「ねえ碧、もう一個約束してもいい?」

澄み渡るほど青い空。
その中に、碧もいるのかな。

「どんなに遅くても、私のことをそこで待っていて。もう一度会えたら、言いたいことがあるんだ」

碧は、その約束は必ず守ってくれるだろう。