君への想いは、愛だった


「はい。私……、碧が私を守って壊れるのとか、許せないので。私のことなんて気にせずに、これからの人生を諦めないで欲しいんです。もし閉じ込められても、いつか出れるって思っているので……、一緒にそう思って頑張って行きたいんです」

この世界から碧がいなくなるなんて、そんなの絶対に嫌だから。
いなくなるくらいなら、閉じ込められる方がいい。

すると先生が言いづらそうに口を開いた。

「もう彼が壊されるのは決まってしまっているんだ。しかも、きっと閉じ込められても、出れないと思う……。何か世間を揺るがすようなことが起きないと……」
「え……」

決まっている……?

「それって……、今からどんなに懇願しても、ダメってことですか……?」
「……うん。Stepを壊すのは、時間がかかるんだ。随分前から検査をして、準備をしなければいけない。だからこそ、準備が進んできた今、中途半端なところで辞めるわけにはいかないんだ。準備をして……、人間で言う手術をしなければいけない。準備をしたのに手術をしなければ……、彼は苦しみながら結局壊れることになる」
「そんな……」

血の気が引いていくのがわかった。
彼を助けようとしたら、余計彼を苦しめることになるということ……?
先生が悲しげに目を伏せた。


「………千瀬ちゃん………、残念だけど、もう手遅れだよ」

余命宣告のように、残酷に響いた、その言葉。

「嘘……」
「きっと、今の君にできるのは……、残された碧くんとの時間を、大切に過ごすことだよ」

目の前が真っ暗になった。
私は、碧がいない世界を、歩まなければいけないということ……。
絶望に打ちひしがれている私の前で、先生が話し始めた。

「碧くんの話をしてもいいかい?」
「はい……」

余計悲しむだけかもしれないけれど、碧のことは知っておきたかった。

「碧くんは、小さい頃はすごく可愛かったんだ。愛嬌があって、優しかった。幼い頃からAIの陽人くんとすごく良かったんだよ。陽人くんの親は、AIであることを本人に話していたんだ」
「え……」

……愛嬌がある?信じられない……。
というか、AIであることを話す家庭もあるんだ。人それぞれなんだなぁ……。

「だから陽人くんは碧くんがAIだということには気付いていたんだ。だから碧くんに話した」
「え、君はAIだよ、って……?」

こくりと先生が頷いた。

「それで、ほとんど人間と変わらないのに勝手に恐れてくる人間を嫌い始めた」

そういえば、碧は人間嫌いだと言っていた。