君への想いは、愛だった


ようやく辿り着いた。研究所の真ん前までやってきて、私は無理矢理扉を開けようとした。
すると、扉付近にいた2人の護衛が、私が中に入ろうとするのを必死に止める。


「まだ許可が出ていない、無断で入るな!!」

「やだ、入らせてっ……!」

とにかく暴れる私を2人がかりで抑えられた。

「AIは感情がないだろう?とにかく許可が降りるまで待つんだ‼︎」

何それ……。

感情がないから……、そんなに焦ることないって言われてるの?

「——開けて‼︎」


大声をあげて、2人の護衛の腕を振り払って扉の取手に手をかける。

鍵がかかっている。泥棒のようにバンバンと扉を叩いた。

不審者って思われてもいい。ただとにかく、碧に会いたい。助けたい。

「おい、やめろっ‼︎」

また押さえつけられた。

「……AIと人間、何が違うの⁉︎」

低い声で言った言葉に、護衛の人たちがぴくりと反応した。


「私にだって感情はある‼︎傷つくし、辛いし、悲しいしっ…‼︎」

早口で捲し立てた後に、ゆっくりと深呼吸をして自分を落ち着かせていく。



「理不尽に大切な相手と引き離されて、その相手は自分を守って消えるだなんて……、そんなのおかしい‼︎AIだって意思を持っているんだ‼︎なのに、人間の勝手で閉じ込められたり、大切な相手を奪ったり……、最低だよ‼︎こんなの間違ってる‼︎」



今までで一番、大きな声で、そして一番感情がこもった声だった。


護衛の人たちが、少し怯んだように拘束する力を弱める。

次の瞬間、目の前のドアからかちゃりという鍵を開ける音がした。私たちは一斉にドアを見る。
ドアが開いて姿を現したのは……。



「石田先生……」

石田先生は、私の記憶の通りの、穏やかな笑顔を浮かべた。

「千瀬ちゃんだよね。入っていいよ」

許可が降りたところで、護衛の人は拘束をやめた。

自由になったところで、ゆっくりと研究所の中へと入っていく。

「多分千瀬ちゃんが会いたいのは清水碧くんだよね。今は少し席を外しているんだ。少し僕とお話ししない?」
「え、はい……」

そうなのか……。もう少し早くついていたら長く会えたかもしれない。そう思うだけで転んだ自分を恨む。

近くの椅子に先生が座ったので私は向かいの椅子に座った。

「あれ、転んだの?」
「あ、はい、ちょっと転んでしまって……」
「そっか、ちょっと待って」
「あ、ありがとうございます……」

先生がポケットから絆創膏を取り出して私に渡してくれた。受け取って、怪我をした足に絆創膏を貼る。

「大きくなったね。ここに通っていた時はこのくらいだったのに」

手の高さでその頃の私の身長を表している先生。

「……私、碧を説得したいんです」
「説得?」