君への想いは、愛だった



顎のあたりまで浸かった頃、後ろからばしゃばしゃと水を掻き分ける音がした。


バレてしまったのか。そう思ってもっと歩みを速めた。だが水中は走りにくい。

「千瀬!」

後ろから聞こえた鋭い声に、反射的に振り向いてしまった。



そこには、私が最後に会いたいと思っていた、碧の姿があった。

無意識に涙が溢れていた。

碧は、びしょ濡れになるのも躊躇わず、私のところまで駆けてきて、私を思いっきり抱きしめた。


「碧……」


ああ、私は馬鹿だ。


最後に会いたい、会えたらもう会えなくてもいい。そう思ったのに……。



一度会ってしまったら、もう会えなくなるのが悲しい。寂しい。そう思ってしまった。
私を抱きしめる碧の腕は、海に冷やされて冷たかった。
そして、碧を抱きしめ返す私の手も、凄く冷たかった。

なのに、私の頬を流れる涙は、感じたことのないくらい熱かった。


そして、私はこの瞬間に気付いた。


AIには感情なんてないと、思っていた。


でも、今ならあると思える。


私は、碧のことが好きなんだ。

そう思った反面、ぼんやりとこう感じた。




——今更気付いても、もう会えないのに。