秒で既読がつき、返信が来る。
【俺も同じ日】
「嘘……」
まさか……、2人とも同じ日に閉じ込められてしまうなんて……。
少し固まった後、メッセージを送る。
【今日のこの後か、明日か、明後日に会えない?】
最後に会いたかった。
君に会ってからなら、自由に動けなくなっても、いいと思った。
暫く経ってから、返信が来た。
【ごめん、予定があって……】
その言葉を見た瞬間に、私はスマホを投げ捨てて部屋を飛び出した。
「千瀬っ⁉︎どうし……⁉︎」
お母さんの焦った声も無視して、リビングを駆け抜けて玄関へとむかう。
鍵を勢い任せに開いて、外へと飛び出した。
月は雲に隠れて見えない。星の光すらも見えない。
走りすぎて息が荒い。
きっと明々後日には、このくらい走ることすらもできなくなってしまうのだろう。
碧に会えない世界なんて、いらないと思った。
碧に会うことを許さない世界に居続ける意味なんてないと思った。
どうせ自由に動けなくなるなら、ずっと眠っていた方がマシだと思ったのだ。
行くあてもなく、ただただ走った。
私の首にかかっているペンダントを見るたびに、通行人が見なかったことにして通り過ぎていく。
ペンダントをつけていたら“AI”だとバレるのなら……。
大きく振っていた手をチェーンにかけて、思いっきり引きちぎろうとした。
嫌な音がして、千切れそうになったその時。
「いっ……」
耐えられないほどの頭痛が私を襲った。
思わず頭を押さえてしゃがみ込んだ。
痛い。感じたのことのないほど、頭が痛い。
ペンダントを見ると、まだチェーンは切れていなかった。
……そうだ。私はAI。それは変えられようのない事実。
そうやって生まれてきてしまったのだから……、周りからのこの視線も耐えなければいけない宿命なのだ。
そんな宿命を、AIだという証を取ろうとするなど、許されない行為なのだろう。
ふらりと立ち上がって、また夜道を走り出した。
そうだ。AIは死ぬことができないだろう。ただ、眠ることもできるから意識を失うことはあるだろう。
ならば、もうずっと、誰にも気付かれずに意識を失い続けていたい。
そう思ったら、行く所は一つだった。
◼︎◼︎ ◼︎◼︎
周りが不気味な森に包まれているため、人通りが少ないこの海岸。
海の方へと歩みを進めると、ひんやりとした冷たさを足が感じた。
このまま海の底へ、誰にも気付かれずに沈んでしまえばいい。
そう思って、一気に海の沖の方へ駆け抜けた。



