ガヤガヤと話し声が聞こえる。
クラスの中心人物が、みんなに向かって声をかけた。
「みんなっ!!先日の文化祭、お疲れ様‼︎うちのクラスの焼きそば屋は大人気だった!みんなのお陰だ!」
そう、この人物こそが、焼きそば屋をやりたいとゴリ押しして決めた人だ。自分の案が実現され、結果もついてきたことに、すごく感激した様子だった。
明るい笑みを絶やさぬまま、クラス全員に向かってまた声を張り上げる。
「みんな、文化祭お疲れということで、パーっと打ち上げにでも行こうじゃないかっ!!」
ワッと盛り上がる教室。あちこちで咲く明るい笑みが、乗り気だということを証明していて、目立つ人々が細かいことを決めている。
そんな中で、私はため息をついた。
私は、本番も特に何もしていない。ずっと碧と文化祭を回っていた。
空気のような存在の私には……、こうやって打ち上げなどにも誘われるわけがない。
実際に、文化祭の日にも、訪れた屋台の店員は、嫌な顔をしていた。そして、何も言わずに私のぼそぼそといった注文に応じ、商品を渡しただけだった。他の人には、にこにこ接しているのに。
無愛想とも言えるし、警戒しているとも言える対応だった。そういう視線や態度を取られるたびに、私は、私の弱みを握られているかのような、居た堪れない気持ちになって、落ち着かなくなってしまう。
でも、ずーっとこんな視線に晒されてきた私は、きっとこれからもそうなる運命なのだ。そういう宿命は、しっかりと最期まで背負っていなければいけない。
みんなが打ち上げの話をしている教室内で、私は席をたった。
そして、通り過ぎる際にちらりと隣の教室を覗く。
いつも座っていた場所を見てみると、当たり前のようにそこは空席だった。
「部長……」
小さく溢れたその声は、誰にも聞こえることのなく、宙へ溶けていった。
「彼奴さ、捕まったんだって。監禁状態らしーよ」
その声に、ぴたりと足を止めた。
「よかった……」
その、心から安心しているかのような声色に、どくりと心臓がはねた。
「いつも、一緒の空間にいるだけで……、怖かったから……。何されるかもわかんないし」
どくり、どくりと耳元で心臓が鳴っている。
そりゃそうだと思う。私たちにとってAIは、未知の存在なのだ。何を考えているかもわからない。それは人間でもそうなのに、人工的に作られた“別の生き物”として怯えてしまっているんだ。
私は、知ってる。部長は、危険でもなんでもない。
ぷつりと何かが切れて、私はとうとう息を吸ってドアに向かって一歩踏み出した。
「あのっ……」



