君への想いは、愛だった



先程部長への恐怖を抱いた私を思いっきり恨んだ。

AIとか、関係ない。人間とAIの壁を壊して仲の良くなった2人の絆を目の前に突きつけられて、私は間違っていたと思った。そうだ。プログラムされていても関係ない。部長は部長だ。

「……陽人は、スマホも没収された。もう連絡は取れない。二度と狭い部屋から出して貰えなくなって……、俺とも二度と会えなくなってしまった……。別れは言い合ったけど、やっぱりまたあいつと話したい」

スマホも……。

どこまでも用意周到で几帳面な政府への恨みが募る。

「……辛いね」

驚いたように碧がこっちを見た。

「部長も辛いだろうけど、心友を失った碧も辛いよね」

碧が俯いて手に握っていた筆を握り締めた。


「……辛くない」
「強がらなくていいよ」
「強がってない。だって俺は、心がないから」
「そ、そんなことないと、思うよ……」

よく小説で聞く、「全てに無気力」という意味かな。そう思ったけど、碧はそれ以上心については、何も話さなかった。

そういえば。

文化祭の時の部長の暗〜い絵を思い出す。

あれは、きっと部屋に閉じ込められて、家族にしか会えなくなる、碧にはもう会えなくなるって知った後に書いたのかもしれない。じゃなきゃ、あんな絶望したような暗い絵は描かないはずだ。

結構前から決まってたんだ……。
そして、気付かなかった私を呪いたくなる。

「……部屋に閉じ込められて、陽人が幸せになれるわけがない。ただ、俺は政府の方針を変えれるほどの力はない。その自分の無力さを、俺は本当に呪いたくなる……」
「……」

確かに、私たちは無力だ。
1人くらいの学生の叫びなんて、聞き入れられるはずがない。
「あなた1人の意見が、世界を変えるかも」とか聞くけれど、今の私たちは無力だ。私が、しかも助けてくれるクラスメイトなどもいない私が意見を言っても、一蹴されて終わるだけだろう。

私は。

「……AIも……人間と何一つ変わらない扱いをされて、平等になる世の中になればいいのにね……」

ぽつりと溢した言葉に、こちらを見ずに碧が頷いた。

「本当に、そうだな。そうなればいいのに……」

噛み締めるように低く呟かれた言葉は、ひどく震えていて、悲しみと……少し隠れた恐怖で覆われているように私には聞こえた。


置いて行かれた寂しさと、どこか何かに怯えたような横顔の碧が……、何を考えているかなんて、薄っぺらい思考の私には、きっとまだわからない。

ただ……、いつか知りたいななんて、図々しく思ってしまった。