その驚愕の事実を見たのは、新聞だった。
文化祭の翌日の休日に、何気なく見た新聞のトップ。その文字を見つけた瞬間、新聞をまじまじと見た。
『政府はこれから人間型AI「Step」(ステップ)を集める方針を発表。その第一歩として、佐原学園に通っている海野陽人を招集した。』
心臓が耳元でなっているようだ。心臓が痛くて、胸元のシャツを掴んだ。
海野陽人。佐原学園。
そのキーワードは、あまりにも、聞き覚えがありすぎる。
「嘘…」
…まさか。部長は…………、AI、だったの?
Step。私が生まれた頃より少し前ほどから作られ始めた、最新のAI。
それは人間と同じ形で、喋るし、食べるし、寝る。人間と同じルーティンをするし、笑いもする。
人間と変わらないため、学校にも通う許可が出たという。
最新型のAIとして多くの注目を集め、買う人が続出したという。
ただ、作られ始めて少し経ってから、周囲のStepに対する視線が変わり始めた。
人間と同じように、「考える」こともでき、人間とほとんど同じなため、Stepが大きくなり、総理大臣など政治を動かす側になったら、いつかAIが世界征服するのではないかと怯える者たちが増えたのだ。
また、StepがAIを作る研究者になったら。最新式のAIがAIを作るなんて、それは賢いAIが出来上がることだろう。これもまた然り、世界征服するのではと恐れる者が急増。Stepに関わった人も、巧みな手口で騙され、世界征服の材料として使われるのではないか。そう囁かれるようになり、Stepに対する恐れは高まっていった。
周囲の、「世界征服しないように、人間を騙したりしないように…、とにかく人間から離してほしい」という声に応じ、今回は政府が集める方針にしたそうだ。
集めるって、どういうこと?部長が傷ついたりしてないよね……?
慌てて新聞にのめり込んで続きを読む。
どうやら、牢屋のようなところに閉じ込めるそうだ。そうは言ってもご飯もあげるし、生活には困らないようにするらしい。
だとしても…閉じ込めるって酷すぎる。
家族とは面会できるようになっていて、危害は加えないそうだが、一部の人からはこの方針に対して批判が起こっていた。
「AIだとして意志の持った、列記とした生き物だ。それに対して幽閉をするなんて最低だ」「今まで通り自由にするべきだ」などという意見もあるそうだ。
ただ、その意見よりも、いつ暴走するかわからないAIに対して不安を嘆く声の方が圧倒的に多いらしく、どんどん他のAIも招集していく方針だそうだ。
そこで新聞が終わり、まだ信じられない気持ちでいっぱいのまま記事から顔を上げた。
嘘だ。部長がAIで…、捕まって…、閉じ込められて…、もう二度と会えないなんて…。
信じがたい現実を目の前に突きつけられ、ショックで倒れてしまいそうだった。
あのほんわかした笑顔、優しい言葉、彼の綺麗な絵…。その全てが走馬灯のように脳内を駆け巡る。
あの全てが計算だった。プログラミングされた者だったんだ。
その事実を脳がぼんやり理解した時、浮かんだ感情は………、部長への恐怖だった。



