どうせ、私がいなくなっったところで悲しむ人も、困る人だっていないんだ。
「先に回ろう」
碧の背中をぼんやりと眺めた。
きっと、碧も私とクラスでの立ち位置は一緒だ。
でも、安心して。君がいなくなって悲しむ人はいるよ。
ここに。
私は碧がいなくなったら、悲しいよ。
「あ、たこ焼き」
「たこ焼き⁉︎何それ、そんなのあるの⁉︎食べよう!」
「いや…たこ苦手」
「そっか。じゃあ私だけが食ーべよ」
爪楊枝で食べる私を見て食べたくなったらしい。
「一個ちょうだい」
「え、苦手なんじゃないの?はい」
「……」
碧の顔がだんだん暗くなっていく。
「やっぱり苦手だった…」
「あはは、だめなんかい」
「あ、クレープ」
「甘党なの?意外」
「正真正銘の苦党&辛党」
あ、やっぱりか。
「千瀬こういうの好きでしょ」
「うん、よくわかったね?」
「どれ食べる?俺のおすすめは『キムチ増し増し激辛クレープ』」
「やめてやめてやめて」
てか何それ⁉︎そんなのあるの⁉︎
何事もなくチョコバナナクレープとキムチ増し増し激辛クレープを頼む私と碧。
「!おいし〜!甘い!…、そっちは凄い辛そうだね」
「よゆーでいける…」
「えっすご」
めっちゃ辛そうなキムチが入った激辛クレープを余裕で黙々と食べている碧。私が思っているより、辛党なのかもしれない。
「お化け屋敷だって、はいる?」
「やめておきます…」
酷い…。絶対私が苦手な部類だってわかってるはずなのに…。
「そうだ、私、美術部見てみたい!」
「え、自分のを?」
「いいじゃん、部長のとか碧のとか見てないし」
問答無用で連れ出して美術室の中へ入ると、誰もいなかった。
「あれ?部長いない」
「休憩したんじゃないの?」
それもそうか。特に気に留めずに辺りを見渡す。
私たちが描いた絵を眺めると、ふと部長の作品が目に止まった。



