冷遇令嬢、最恐軍医に嫁ぎました~大正深愛綴り~


「小顔の紫乃さんには、少し大きかったな」
「へ?」
「次は、もう少し小ぶりのものを頼んでおこう」
「……っ! こ、これで十分ですっ!」

(高価な眼鏡を二つもつくって貰うなんて、罰が当たるわ……)

 勇心の指先が眼鏡の縁に触れたかと思えば、紫乃の前髪がさらりと横に流された。

「これで……視界確保」
「……へ?」
「俺が見えるか?」
「……っっ!」

(眼鏡をしているのだから、見えるに決まってるじゃないですか! 何を真顔で仰られているのか……)

 妖艶な眼差しが向けられ、紫乃がたじろいでいると、ゆっくりと勇心の顔が近づいてきた。紫乃は昨夜の口づけを思い出し、紅潮しながらも、そっと目を閉じた。紫乃の頬に勇心の吐息がかかった、その時。

「紫乃様~、お味噌をつくる大豆を……ッ!!」

 タミが紫乃を探しに縁側へとやってきて、今まさに口づけを交わそうとしているところを見られてしまった。

「タミは何も見ておりませんからね~! ごゆっくり~~」
「……っっ~っ!」
「んっ……ゴホンッ。居室以外は、……使用人の目を気にせねばならないな」