「今宵は……もう休んでよい」
「……へ?」
低く、抑えた声でそう告げると、勇心は踵を返した。
すると、紫乃は慌てて声をかける。
「お待ちくださいっ……」
紫乃は勇心の声音で我に返り、ハッとした。目が不自由で行き場のない自分を受け入れて下さったお方なのに……、失礼な態度を取ってしまったと反省したのだ。
紫乃は、気配を頼りに勇心の背中に縋りついた。
「どうか……、妻の務めを果たさせてください……」
紫乃の声は震えていた。結婚初夜で、取り返しのつかない失態を犯してしまったと思い、紫乃は大柄な勇心に背後から抱きつく。
(まだ、触れられてもいないの拒絶するようなことをしてしまうなんて……)
「……すまぬ」



