きみが春なら

「ねぇポリーナ、見てあそこ。酔っぱらいが寝てるの」
「え?」

いつも一緒に出勤しているリラと落ち合った途端そう言われた。彼女が指さした方向を見てみると、確かに男が一人でベンチに横になっている。

「この寒いのに信じられない。まさか死んでないわよね?」
リラが笑う。

深緑のコートに、ブロンドの髪。斜めがけされた皮のショルダーバッグ。
何だか見覚えがあるものばかりな気がした。

「……リラ。ちょっと今日は先に行ってもらえる?」
「え?うん。わかった」

彼女を見送った後、そうっと男に近付いてみる。

「やっぱり!」

そこで寝息をたてていたのは、この前親友を泣かせた男だった。