きみが春なら

◇ ◇ ◇ ◇

「ん……」

幾分すっきりした頭を振り、体を起こす。
どれくらい時間が経ったのか。明るくなった窓の外を見やり、そのままハルに視線を移す。
「え」
繋いだままの手に、力が込められた。

「ハル?」

手を握り返すと。
彼女の瞳がゆっくりゆっくり、開いた。


「気付いたか、」


背後でがたん、と音がした。慌てて立ち上がった拍子に椅子を引っくり返したらしい。
ぼうっと天井を見つめる君は数度瞬きを繰り返す。
瞳には確かに生気が戻っていた。

「……っ」

一気に全身の力が抜ける。
膝から崩れ落ち、再びベッドに突っ伏した。ため息が長く、長く口から漏れる。

「医者を呼んでくる。すぐ戻るよ」

声をかけても君の表情は変わらない。
開かれたままの瞳からすっ、と涙が流れた。

「……」

掌で拭ってやり、部屋を飛び出した。