きみが春なら

「あ。良かった」

イーヴァンが戻ってきたのは、結局10分を少し過ぎた頃だった。
気もそぞろに繰り返していた足踏みを止める。

「もうすぐ警備がまわってくる。今なら裏門から」
「……飲んだよ。薬」
「、え?」

イーヴァンはどこかボーッとした表情のまま窓枠に足をかけ、こちら側へ飛び降りた。

「話も出来た。少しだけど……目も開いてた」
「な!?ど、」

どうやって飲ませた、と聞きそうになったが途中で口を噤む。

「いや……そうか。ありがとう」

何も言わないイーヴァンの背を押し、裏門まで駆けた。