きみが春なら

「熱が高すぎて医者も半分匙を投げてる。意識が無いから薬が飲めない。点滴で水分を入れるだけだ」

自分がどんな顔をしているのかわからない。
お伽噺を聞いてるみたいな遠い感覚だった。

「正直、いつ……どうなっても。おかしくない」

マナトの声は震えていた。
何故か頭に浮かぶのは、ペテルブルクの山中で夜景を眺める君の背中だった。

「どうなっ、ても……って」

自分でも聞こえないような声しか絞り出せなかった。


ハルが、

まさか

ハルが?


「頼む。俺たちの声じゃ── 届かない」