きみが春なら

「いい……すごくいいわ。イーヴァン」

深夜。俺は女が別に用意したホテルの一室に呼ばれていた。
むせかえるような香水の匂い。サイドボードに置かれた純金の時計。真っ赤な鋭い爪。
魔女かよ、と思う。

肌に舌を這わせると、女は大げさによがってみせる。わざとらしく鼻にかかった声で俺の首に手をまわす。 

「ねぇ。もっと……きて?」

上目遣いでそうねだられ、言われるままに体勢を変える。女をうつ伏せにして腰を抱え直した瞬間、アーサーの声が蘇る。


『今更、陽のあたる場所で生きていけると思うなよ!』


── あぁ、もう
どうにでも なれよ

「っ、あっ!」
「く……!」

後ろから一気に貫き、まるで八つ当たりのように激しく動いた。女が喘ぎながらめちゃくちゃにシーツを握る。
視界の端で揺れる胸を揉みしだく。

「はぁっ、は……っ」

俺の呼吸も荒くなる。終わりが見える。
頭を何かが過ぎりそうになる度、必死に必死に追い出した。