きみが春なら

駆け寄って抱き起こした体は、信じられないほど熱かった。
顔が真っ赤だ。額と首筋に汗が浮いていた。

「おい!?しっかりしろ!」
「いやぁっ、ハル様!」

呼びかけるも彼女の体はぐったり力が抜けたまま。閉じられた両目も開く気配が無い。
昨夜俺が置いた瓶はテーブルの上で倒れ、水がへりから滴り落ちていた。

「……っ」

── 夜中のうちに悪化したのか?

「ジュリ……新しい水を。俺は医者を呼んでくる」
声をかけたが、ジュリは震えながら泣くばかりだ。
「早く!」
「は、はい!」

ジュリが走って出て行った後。

「ハル。ハル!」

再び体を揺すると彼女は一瞬眉をしかめたが、反応らしい反応はそれだけだった。
だらん、と。左手が床に滑り落ちる。

「嘘だろ……」
腕の中の君を、呆然と見つめた。

だって昨日は、元気だったのに。

気をつけてね、って。
優しい声で、
俺に。


「ハル……!」