きみが春なら

「── ねぇ、マナト。ありがとう」

おにぎりを咥えたまま向き直る。

「なにが」
「全部よ。いつもありがとう」

ハルは俺を真っ直ぐ見つめ、

「あなたがここにいてくれて……嬉しい。」

微笑みながらそう言った。

「……っ」

胸が、ことんと動く。


── あぁ、そうか。
そうなんだ。
やっとやっと腑に落ちた。

書庫で君を抱きしめた時
王子に見られたら殺されるとわかってたのに、離せなかった。

手を繋いで歩いた時。
このままどこまでも
どこまでも暗闇が続けばいいと思った。


「……変なプリンセスだな。急に」
「いいの。言いたかったの」


放っておけないのも、
やるせないのも。
笑って欲しいと思うのも
全部。

……好きだから、なんだ。