きみが春なら

◇ ◇ ◇ ◇

次の夜勤の時だった。

「ん」

警備の為城の外に立っていると、白いワンピース姿のハルが廊下を歩いてくるのが見えた。
俺に気が付き笑顔になった彼女は、背伸びをして窓の鍵を開けてくれる。

「お疲れさま」
「まだ起きてたのか」
「ロレンツォ様の朝食の準備で」
「……あぁ」

彼女は料理をする時のみワンピースを着る事を許可されていた。

「会えて良かった。これ」

窓の向こうから突然差し出されたのは、茶色の紙袋。

「ん?」
「前に、夜通し勤務の日はすごくお腹が空くって言ってたでしょ?休憩の間に良かったら」
ぽかんとしながら受け取った。

「作ったのか?わざわざ」
「わざわざっていう物じゃないんだけど。開けてみて?」

びっくりすると思う、と。ハルは悪戯っ子のような顔で笑う。

「あ……」
言われるままに袋を開ける。目に飛び込んできたのは二つのおにぎりだった。