「……わ。真っ暗」
書庫から一歩出た途端、暗闇に包まれた。
「月が陰ったな」
私に続いて出てきたマナトが言う。
「別棟は今は使ってないから。電気が切れっぱなしなんだ」
天窓を見上げる。さっきは月明かりが射してたんだ。夢中で走ってきたからわからなかった。
書庫の電気を消し扉を閉めると、廊下はいよいよ真っ暗闇だ。爪の先程の明かりも無い。
「── ん。」
マナトは、とても自然に私の手を握ってくれた。
「足元、気を付けて」
「ありがとう」
並んでスロープを下りていく。
宇宙に二人きりで放り出されたみたいだ。
大きくて温かいマナトの手。再びこみ上げてきた涙を慌てて押し戻す。
乱暴に愛された体が、一歩踏み出す毎に痛む。これが現実である何よりの証拠だ。
頭の中がぐちゃぐちゃに散らかってその場にいられなかった。王子様が眠った後部屋を飛び出した私を、マナトは追いかけてきてくれた。
「甘えてばかりね。」
隣で立ち止まったマナトは、何も答えず私の手を握り直す。
別棟を出るまで。暗闇の中ずっとずっと、手を繋いで歩いた。
書庫から一歩出た途端、暗闇に包まれた。
「月が陰ったな」
私に続いて出てきたマナトが言う。
「別棟は今は使ってないから。電気が切れっぱなしなんだ」
天窓を見上げる。さっきは月明かりが射してたんだ。夢中で走ってきたからわからなかった。
書庫の電気を消し扉を閉めると、廊下はいよいよ真っ暗闇だ。爪の先程の明かりも無い。
「── ん。」
マナトは、とても自然に私の手を握ってくれた。
「足元、気を付けて」
「ありがとう」
並んでスロープを下りていく。
宇宙に二人きりで放り出されたみたいだ。
大きくて温かいマナトの手。再びこみ上げてきた涙を慌てて押し戻す。
乱暴に愛された体が、一歩踏み出す毎に痛む。これが現実である何よりの証拠だ。
頭の中がぐちゃぐちゃに散らかってその場にいられなかった。王子様が眠った後部屋を飛び出した私を、マナトは追いかけてきてくれた。
「甘えてばかりね。」
隣で立ち止まったマナトは、何も答えず私の手を握り直す。
別棟を出るまで。暗闇の中ずっとずっと、手を繋いで歩いた。
